補助金の申請書を自分で書くのは大変です。「誰かに頼みたい」と考えたとき、2026年からは頼める相手と頼める内容がはっきり分かれました。2026年1月1日に施行された改正行政書士法(「行政書士法の一部を改正する法律」令和7年法律第65号)で、報酬を得て他人の書類を作成できるのは行政書士であるという趣旨が、条文上はっきりしたためです。
この記事では、ネットショップ運営者が補助金の相談・依頼をするときの正しい相談先を整理します。
この記事の結論
- 報酬を払って申請書類の作成を頼めるのは行政書士
- 「コンサル料」「サポート費」など名目を変えても、実態が書類作成なら同じ扱い
- 制度の説明や事業計画への助言は、商工会・商工会議所や専門家に相談できる
- 制作会社に頼めるのは、見積・仕様・制作・公開後の運用
- 商工会・商工会議所以外の第三者から支援を受けたら、相手と金額を申請書に書く。書かないと虚偽の報告として不採択・交付決定取消
- GビズIDのID・パスワードを支援者に渡して代理入力してもらうのは利用規約違反
- 違反した場合、依頼した側も不採択・交付決定取消や返還のリスクを負う
※2026年10月22日時点。「行政書士法の一部を改正する法律」(令和7年法律第65号・2026年1月1日施行)、小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回 公募要領(第8版)、GビズID利用規約をもとに作成しています。個別のケースの判断は、行政書士などの専門家に確認してください。
2026年の行政書士法改正で何が変わったか
改正法の正式な名前は「行政書士法の一部を改正する法律」(令和7年法律第65号)です。2025年6月6日に参議院本会議で全会一致で可決・成立し、同月13日に公布、2026年1月1日に施行されました。日本行政書士会連合会は、改正の概要として次の4点を挙げています。
| 改正点 | 内容 |
|---|---|
| 使命と職責 | 「デジタル社会への対応」の努力義務を規定 |
| 特定行政書士 | 業務範囲を許認可等に関するものへ拡大 |
| 業務の制限 | 「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」を追加 |
| 両罰規定 | 行為者のほか法人にも罰則 |
補助金の相談先として効くのは、下の2つです。業務の制限の規定に「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が加わり、報酬の名目によって判断が変わるものではないという趣旨が明確になりました。
これまで「コンサルティング料」や「会費」などの名目で、実質的に申請書を作成する事業者もいましたが、改正後は名目ではなく実態で判断されることがはっきりしました。違反者本人だけでなく、所属する法人にも罰金が科される両罰規定も整備されています。
やってよいこと・いけないこと
| 行為 | 行政書士以外が報酬を得て行う場合 |
|---|---|
| 補助金制度の説明、公募要領の読み合わせ | ◯ |
| 事業計画の内容への助言 | ◯ |
| 決算書・試算表の作成(税理士など) | ◯ |
| 見積書の作成、制作・広告などの実施(制作会社など) | ◯ |
| 申請書そのものの作成代行 | × |
| 名目を「コンサル料」に変えた作成代行 | × |
事業者が自分で申請書を書くこと、社員が自社の申請書を作ることは問題ありません。
GビズIDを支援者に渡して代理入力してもらうのはNG
持続化補助金の申請は電子申請システムで行うので、「入力だけ代わりにやってほしい」という場面が出てきます。ところが第20回の公募要領は注意事項で、第三者の支援者等にGビズIDプライムもしくはGビズIDメンバーのアカウントおよびパスワードを開示することは、GビズIDの利用規約第11条に反する行為だと明記しています。
利用規約第11条は、アカウントのIDとパスワード、GビズIDアプリを入れた端末の情報を自己の責任で管理し「他人にこれを開示し、又は利用させてはならない」と定めています。第12条の禁止事項にも「1つのGビズIDアカウントを複数の者が共用する行為」が挙げられています。入力作業は自分で行うか、自社の職員にGビズIDメンバーを発行して分担するのが筋です。アカウントの取り方はGビズIDプライムの取り方で解説しています。
第三者に相談したら、相手と金額を申請書に書く義務がある
ここが見落とされがちな点です。商工会・商工会議所以外の第三者から支援を受けた場合、確認事項入力(様式2)の「商工会・商工会議所を除く第三者からのアドバイスの有無」の項目に、相手方と支援に係る金額を書く必要があります。公募要領は金額について「着手金、成功報酬その他名目のいかんを問わず」とし、記載がない場合は虚偽の報告として不採択・交付決定取消になるとしています。
しかもこの申告義務は支援料金の支払いの有無に関わらずかかります。無料のアドバイスでも相手を書く、ということです。不当な支援料の請求を防ぐ観点から、第三者支援者に対してヒアリングや現地調査を行う場合があるとも書かれています。公募要領は「提供するサービスの内容と乖離した『高額なアドバイス料金』を請求される業者等にご注意ください」とも注意喚起しています。
もう1つ重い規定があります。この補助金は小規模事業者が自ら経営を見つめ直して計画を作る取組を支援するものなので、事業者自らが検討しているような記載が見られない場合や、自らが検討していなかったことが発覚した場合は、評価に関わらず不採択・交付決定取消になります。丸投げが前提の依頼は、そもそも制度と相性が悪いということです。計画の作り方は持続化補助金の事業計画書をECサイトで書くときにまとめています。
不正受給にあたると判断された場合は、補助金適正化法に基づき、交付決定の取消・返還命令や不正の内容の公表に加え、5年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金(またはその併科)という罰則もあります。依頼した側のリスクという意味では、行政書士法よりこちらのほうが重いと言えます。
目的別の相談先
| 相談したいこと | 相談先 |
|---|---|
| どの補助金が使えるか | 商工会・商工会議所、よろず支援拠点 |
| 事業計画を見てほしい | 地域の商工会・商工会議所 |
| 申請書類の作成を任せたい | 行政書士 |
| 決算書・数字まわりの整理 | 税理士 |
| 見積や制作・広告の実施 | 制作会社・フリーランス |
費用の目安は、商工会・商工会議所は無料で相談できる窓口が多く、よろず支援拠点は何度でも無料です。行政書士は着手金+成功報酬などの形が多く、税理士は顧問契約の範囲で対応してもらえることがあります。制作会社・フリーランスは制作費・運用費がかかります。
持続化補助金は、商工会・商工会議所の事業支援計画書(様式4)が必要です。第20回は発行依頼の受付締切が2026年12月4日(金)で、公募要領は「受付締切以降の発行依頼は、いかなる理由があってもできません」と明記しています。申請受付締切(2026年12月15日(火)17:00)より11日早いので、ここから逆算して相談を始めてください。
よろず支援拠点は国が設置している無料の相談窓口で、経営上の相談に「何度でも無料で」対応するとしています。どの補助金が使えるかの整理や、計画の方向性の相談はここで足ります。
行政書士に依頼するときのチェックポイント
- 料金体系:着手金・成功報酬・採択後の手続き(実績報告など)の費用が分かれているか
- 対応範囲:申請書の作成だけか、採択後の交付申請・実績報告まで対応するか
- 補助金の実績:依頼したい補助金の支援経験があるか
- 計画の主役は自分:事業の中身を一番知っているのは事業者自身。ヒアリングに時間を取れるか
こんな提案には注意
- 「申請書の作成もサービスに含めます」という、行政書士でない事業者からの有償提案
- 「補助金で実質無料」「キャッシュバックします」といった提案
- GビズIDのIDとパスワードを預けるよう求められる
- 交付決定前に契約・支払いを急がせる
依頼した側も、採択の取消や補助金の返還を求められるリスクがあります。制作会社やコンサルタントに相談するときは、誰が申請書類を作るのかを最初に確認しておきましょう。
ネットショップ運営者の現実的な進め方
- 商工会・商工会議所で、使える補助金と計画の方向性を相談する
- 制作会社・広告会社から見積を取る(発注は交付決定後)
- 申請書は自分で書くか、行政書士に依頼する
- 採択・交付決定後に発注し、公開・支払い・実績報告まで進める
発注以降の注意点は補助金でECサイトを作るときの発注タイミングで解説しています。
まとめ
- 報酬を払って申請書類の作成を頼めるのは行政書士
- 名目を変えても、実態が書類作成なら行政書士法の対象
- 助言は商工会・商工会議所、実施は制作会社、書類作成は行政書士と役割を分ける
補助金とネットショップの相談をしたい方へ
ショップスタートでは、ECサイトの制作・集客の計画づくりをお手伝いしています。申請書類の作成が必要な場合は、提携の行政書士をご紹介します。
参考資料
最終確認日:2026年10月22日


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