補助金は、採択されたらすぐにお金がもらえるわけではありません。多くの補助金は後払いで、いったん自分で全額を支払い、事業が終わって報告が認められてから入金されます。ネットショップは仕入れや広告で先にお金が出ていくことが多く、補助金の立て替えが重なると資金繰りが苦しくなります。
この記事では、補助金を使う前に確認したい資金繰りのポイントを整理します。
この記事の結論
- 補助金は後払い。経費の全額をいったん支払う
- 入金は「事業完了 → 実績報告 → 確定検査 → 請求」の後。支払いから入金まで数か月空くことを想定する
- 立て替え額=経費の総額(補助金額ではない)
- 持続化補助金の第20回は、申請締切2026年12月15日 → 採択発表2027年3月頃(予定) → 事業実施期限2028年3月31日。申請準備から入金まで1年半近いと見ておく
- 仕入れの多い時期(年末商戦など)と支払いが重ならないようにスケジュールを組む
- 足りない場合は、金融機関に早めに相談する
※2026年10月21日時点。小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>の交付規程(2026年3月6日改定)および第20回 公募要領(第8版)をもとに作成しています。補助金ごとの手続きや期間は、各補助金の公募要領で確認してください。
補助金が入るまでの流れ
| 段階 | お金の動き |
|---|---|
| 申請・採択・交付決定 | まだ入金なし |
| 発注・納品・支払い | 経費の全額を支払う |
| 事業完了・実績報告 | まだ入金なし |
| 確定検査・補助金額の確定 | まだ入金なし(書類の不備があると延びる) |
| 請求・入金 | 補助金が入金される |
この順番は制度の条文で決まっています。交付規程の第20条第1項は「補助金は、前条の規定により交付すべき補助金の額を確定した後に支払うものとする」と定めており、入金は第19条の額の確定より後です。さらに第20条第2項で、支払を受けるには様式第9「補助金精算払請求書」を自分で提出しなければなりません。確定したら自動で振り込まれるのではなく、請求という一手間が入ります。
実績報告の提出期限も条文で決まっています。交付規程 第18条第1項は「補助事業が完了した日から起算して30日を経過した日、または事業実施期限日の属する月の翌月の10日のいずれか早い日まで」です。早く終わらせた分だけ期限も早く来るので、「期限は翌月10日だから」と構えていると間に合いません。やむを得ない理由があると認められれば期限を猶予できる定めもありますが(第18条第3項)、期限内の提出を怠ると交付決定の取消事由になります(第23条第1項第8号)。入金が遅れるどころか、補助金そのものがなくなります。
実績報告の書類に不備があると、確定検査が長引いて入金も遅れます。見積書・発注書・納品書・請求書・振込記録をそろえておくことが、資金繰りの面でも大切です。書類の注意点は補助金でECサイトを作るときの発注タイミングで解説しています。
第20回だと、立て替えはどれくらい続くのか
持続化補助金の第20回で逆算すると、立て替えの期間は想像よりかなり長くなります。公募要領に載っている日程はこうです。
| 段階 | 第20回の日程 |
|---|---|
| 申請受付締切 | 2026年12月15日(火)17:00 |
| 採択発表 | 2027年3月頃(予定) |
| 交付決定 | 採択発表から概ね1〜2か月 |
| 事業実施期限 | 2028年3月31日(金) |
| 実績報告の提出期限 | 2028年4月10日(月) |
交付決定が出るのは早くても2027年4月〜5月ごろで、申請してから半年近くかかる計算です。発注できるのはそのあと。支払った経費が補助金として戻るのは、実績報告(最長で2028年4月10日)とその後の確定・請求を経てからになります。
交付決定の所要期間について、公募要領は「採択後、詳細な見積書が速やかに提出された場合でも、採択発表から概ね1〜2か月かかる場合があります」と書いたうえで、「あくまで目安であり、状況により変動します」と注記しています。確定検査から入金までに何日かかるかは、交付規程にも公募要領にも書かれていません。入金日は読めない前提で組むのが安全です。
立て替えが必要な金額を計算する
補助率2/3の場合、補助金額の1.5倍の経費を先に支払う必要があります。
| 補助金額 | 先に支払う経費 | 最終的な自己負担 |
|---|---|---|
| 30万円 | 45万円 | 15万円 |
| 50万円 | 75万円 | 25万円 |
| 100万円 | 150万円 | 50万円 |
「50万円もらえる」ではなく、「75万円を払って、数か月後に50万円が戻る」と考えるのが正確です。
ネットショップで重なりやすい出費
- 仕入れ:年末商戦・セール前の在庫確保
- 広告費:繁忙期の出稿増
- 決済の入金サイクル:売上が入るまでに時間差がある
- 税金:確定申告・消費税の納付時期
決済サービスの入金サイクルは、売上があっても手元にお金がない期間を生みます。入金までの日数や振込手数料は決済手数料の実質料率の記事で比べ方を紹介しています。
資金繰り表を作っておく
難しいものでなくて構いません。月ごとに次の項目を並べるだけで、足りなくなる月が見えます。
| 項目 | 記入するもの |
|---|---|
| 月初の残高 | 事業用口座の残高 |
| 入金 | 決済サービスからの入金、補助金の入金予定 |
| 出金 | 仕入れ、広告費、カート・ツールの月額、補助事業の支払い、税金 |
| 月末の残高 | 月初+入金−出金 |
補助金の入金は、遅めに見積もって入れておくと安全です。
足りないときの対策
- 支払いのタイミングを調整する:補助事業期間内であれば、制作の発注時期を繁忙期からずらす
- 事業の規模を見直す:上限いっぱいではなく、立て替えられる範囲で計画する
- 金融機関に相談する:補助金の入金までのつなぎ資金を扱う金融機関もある。採択後に慌てないよう、早めに相談する
クレジットカードで支払う場合も、補助事業期間内に引き落としまで完了している必要があります(持続化補助金の場合)。分割払い・リボ払いで期間をまたぐと対象外になるので注意してください。
まとめ
- 補助金は後払い。経費の全額を先に支払う
- 支払いから入金まで数か月空く前提で、資金繰り表を作る
- 仕入れ・広告・税金の支払いと重ならないよう計画する
- 足りなければ、規模の見直しや金融機関への相談を早めに
ネットショップで使える補助金の一覧はネットショップ運営者が使える補助金一覧2026、開業時の費用はネットショップ開業にかかる費用の全内訳で整理しています。
参考資料
最終確認日:2026年10月21日


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