※ 料率は2026年9月時点で各社の公式料金ページを確認したものです。すべて税込。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
「決済手数料3.6%」
料金表にはそう書いてあります。自分の店で実際に3.6%になることは、ほぼありません。
表示料率と実質料率がずれる理由は3つあります。しかもそのうち2つは、自分の店の数字を入れないと計算できません。この記事では、その3つの補正を順番に見ていきます。
結論:同じプランでも、客単価で実質料率が3.8ポイント動く
先に一番はっきりした例を出します。BASEのスタンダードプランです。
| 客単価 | 40円の固定額が占める比率 | 実質料率 |
|---|---|---|
| 1,000円 | 4.0% | 10.60% |
| 2,000円 | 2.0% | 8.60% |
| 3,000円 | 1.3% | 7.93% |
| 5,000円 | 0.8% | 7.40% |
| 10,000円 | 0.4% | 7.00% |
| 20,000円 | 0.2% | 6.80% |
同じサービス、同じプラン、同じ表示料率でも、客単価だけで3.8ポイント違います。
表示は「3.6%+40円」。そこにサービス利用料3%が乗り、さらに40円が客単価で割られる。客単価1,000円のショップなら、実質10.6%です。
実質料率の式はこうなります。
実質料率 = 表示料率 + サービス利用料 + 固定額 ÷ 客単価 + 決済構成のズレこのうち「固定額÷客単価」と「決済構成のズレ」は、自分の店の数字がないと出せません。料金表を眺めていても答えは出ないということです。
補正1:1件あたりの固定額
料率の横に小さく書いてある「+40円」です。
これは低単価の店ほど効きます。上の表のとおり、客単価1,000円なら40円は4.0%に相当します。料率を0.1%削る交渉より、客単価を上げるほうが効くという意味でもあります。
固定額があるかどうかはサービスによって違います。
| サービス | 1件あたりの固定額 |
|---|---|
| STORES フリー/スタンダード | なし |
| BASE スタンダード | 40円 |
| BASE グロース | なし |
| カラーミーショップ | なし |
| Shopify ベーシック | なし |
固定額を持っているのはBASEのスタンダードプランだけです。低単価の商材を扱うなら、ここが最初のチェックポイントになります。
補正2:決済構成のズレ
料金表に出ている料率は、そのサービスで最も安い決済方法のものです。実際には買われる決済手段が混ざります。
2026年9月時点で公式に確認できた範囲では、こうなっています。
- STORES:PayPay残高・Amazon Pay・あと払いは フリー6.5%/スタンダード4.6%
- BASE:PayPay・Amazon Pay・PayPalは +1%
- カラーミーショップ:後払い4.0%〜。PayPayや楽天ペイを使うには月額2,200円が別途
客単価5,000円で、カード以外の決済が占める比率を変えてみます。
| その他決済の比率 | STORES フリー | STORES スタンダード | BASE スタンダード | カラーミー |
|---|---|---|---|---|
| 0% | 5.50% | 3.60% | 7.40% | 3.40% |
| 20% | 5.70% | 3.80% | 7.60% | 3.52% |
| 40% | 5.90% | 4.00% | 7.80% | 3.64% |
| 60% | 6.10% | 4.20% | 8.00% | 3.76% |
その他決済が4割を占めると、STORESスタンダードは3.6%ではなく4.0%です。
そして決済構成は自分では選べません。扱う商材と客層で決まります。若い層向けならPayPay比率が上がる。ギフト需要があればコンビニ後払いが増える。「一番安い決済方法だけ使ってもらう」ことはできません。
だから比較するときは、表示料率ではなく自分の店で想定される決済構成を入れた実質料率を出す必要があります。
補正3:サービス利用料
決済手数料とは別に引かれる項目です。BASEのスタンダードプランには3%のサービス利用料があります。
ここが分かりにくいところで、BASEの料金表には「決済手数料 3.6%+40円」と「サービス利用料 3%」が別々に書かれています。足すと6.6%+40円。この合計を出さずに「3.6%」だけ見ると、実際の負担を半分に見誤ります。
他社のプランでは、月額料金がこの役割を果たしています。月額を払う代わりに料率が下がる、という構造です。どちらが得かは月商で決まります。この計算はネットショップ作成サービス6社を「料金構造」で比較でやりました。
年額にするとどれくらい違うか
月商50万円・客単価5,000円・カード決済100%の条件で、決済まわりの費用を年額にしてみます。
| サービス | 実質料率 | 年間の決済手数料 |
|---|---|---|
| BASE グロース | 2.90% | 174,000円 |
| カラーミーショップ レギュラー | 3.40% | 204,000円 |
| Shopify ベーシック | 3.55% | 213,000円 |
| STORES スタンダード | 3.60% | 216,000円 |
| STORES フリー | 5.50% | 330,000円 |
| BASE スタンダード | 7.40% | 444,000円 |
同じ売上でも、決済手数料だけで年27万円の差が出ます(BASEスタンダードとBASEグロースの差)。
これは月額固定費を含まない、決済手数料だけの比較です。月額を含めた総額の比較は前述の記事にあります。ただし決済手数料は売上に比例するので、売れば売るほど効いてくるのはこちらです。
なお月額制のプランのなかでは、カラーミーショップの3.4%が最も低い料率です。月商が大きくなるほど、この0.2ポイント差が効いてきます。管理画面は会員登録だけで触れるので、料率を比べる段階で実際に見ておくと早いです。
自分の実質料率を出す手順
いま運営中なら、料金表を見るより自分のデータを見るほうが速いです。
- 直近3ヶ月の決済方法別の件数と金額を管理画面から出す
- 決済方法ごとの料率を公式ページで確認する
- 加重平均を取る(件数ではなく金額で重み付け)
- 固定額がある場合は、固定額の合計 ÷ 売上を足す
この4ステップで実質料率が出ます。表示料率と1ポイント以上ずれていたら、プランやサービスの見直しを検討する価値があります。
まだ開業前なら、想定客単価と、同業のショップがどんな決済方法を並べているかを見て仮置きしてください。仮の数字でいいので、入れて計算することのほうが大事です。
決済手段を絞るべきか
料率の低い決済だけ並べれば実質料率は下がります。ただし、これは機会損失と引き換えです。
使いたい決済手段がないという理由でカゴ落ちが起きれば、手数料を0.5ポイント削った効果は簡単に吹き飛びます。決済手段を1つ削るかどうかは、その決済での売上 × 粗利率 と、料率差 × 全体売上 を比べて判断してください。
実務的には、削るより増やすほうが効くことが多いです。特にPayPayやAmazon Payは「入力せずに買える」ので、スマートフォンでの購入完了率に直結します。料率が1ポイント高くても、完了率が数ポイント上がれば十分に元が取れます。
販売手数料そのものがないサービスもあります。easy myShopは月額制で販売手数料がかからず、決済手数料は選んだ決済方法ごとにかかる仕組みです。決済構成が読めている店なら、この形のほうが計算しやすいことがあります。
まとめ
- 表示料率は自分の店の実質料率ではない。補正は3つ
- 補正1:1件あたりの固定額。BASEスタンダードの40円は、客単価1,000円なら4.0%に相当する
- 補正2:決済構成。その他決済が4割なら、STORESスタンダードは3.6%ではなく4.0%
- 補正3:サービス利用料。BASEスタンダードは決済3.6%+40円に3%が乗って、合計6.6%+40円
- 同じプランでも客単価だけで実質料率が3.8ポイント動く(BASEスタンダード:客単価1,000円で10.6%、20,000円で6.8%)
- 月商50万円なら、決済手数料だけで年27万円の差が出る
- 決済構成は自分では選べない。商材と客層で決まる
- 手数料を削るより、決済手段を増やして購入完了率を上げるほうが効くことが多い
決済手数料は、料金表で比べるものではありません。自分の客単価と決済構成を入れて、はじめて比較できます。
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この記事について
筆者はWebマーケティング・EC運営のフリーランスとして、複数のブランドで自社ECおよびモール店舗の運営に携わっています。料率は2026年9月時点で各社の公式料金ページを確認したものです。決済方法別の料率やサービス利用料は変更される場合がありますので、契約前に必ず公式サイトをご確認ください。本文の試算はいずれも計算過程を明示しています。自分の店の数字を入れて計算し直してください。


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