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補助金で作るECサイトの仕様を途中で変えたいとき|計画変更の承認が要る線と、経費区分の20%ルール

補助金
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この記事の結論

  • 交付決定のあとでECサイトの仕様や経費配分を変えるとき、あらかじめ承認が要る変更と、要らない変更がある。境界は交付規程第12条に書かれている。
  • 経費配分の変更は、各区分の配分額の20%以内の流用増減なら承認不要。ただし20%は増やす側と減らす側の両方にかかるので、実際に動かせるのは小さいほうの20%になる。
  • 承認を取っても補助金の総額は増えない。様式第4の別紙1には「※変更前の補助金額を上限とする。」と明記されている。
  • ウェブサイト関連費を増やす方向の変更には、20%の手前にもう一つの天井がある。別紙1の③には「※④の1/4を上限」という注記があり、20%以内に収めても1/4を超える変更は成立しない。
  • 交付申請の時点で計上していない新しい費目の追加は原則として認められない。ウェブサイト関連費を0円で申請しておいて後から足す、という組み立てはできない。
  • 期間内に終わらない見込みになったときに期限を動かせる正規のルートは、第16条の事故報告(様式第6)だけ。黙って遅れると第23条で交付決定の取消し対象になる。

※2026年10月20日時点。「小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領(第8版)」および「小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>交付規程」(2026年3月6日改定)をもとに作成しています。申請前に必ず最新の公募要領・交付規程を確認してください。

ECサイトは、計画どおりに完成しないことのほうが多い

補助金の申請書は、見積を取った時点の設計で書きます。ところが実際に作りはじめると、必ず何かがずれます。決済手段を一つ足したくなる。商品点数が想定より多くて在庫連携が必要になる。制作会社の見積が上がる。逆に、思ったより安く済んで予算が余る。

ここで問題になるのが、「交付決定を受けた内容」と「実際にやったこと」がずれていてよいのかという点です。補助金の額は実績報告のあとに確定しますが、交付規程第19条は、確定の審査を「その報告に係る補助事業の実施結果が補助金の交付の決定の内容(第12条第1項に基づく承認をした場合は、その承認された内容)およびこれに付した条件に適合すると認めたとき」に行うと定めています。基準になるのは交付決定の内容か、承認された変更後の内容のどちらかで、黙って変えた内容ではありません。

つまり、変更そのものが禁じられているわけではなく、変更を正規の手続きに乗せたかどうかで扱いが分かれます。そして交付規程は、承認が要る変更と要らない変更をかなりはっきり書き分けています。

承認が要る変更と、要らない変更

交付規程第12条第1項は、次のいずれかに当たるとき、原則としてあらかじめ様式第4「補助事業の内容・経費の配分の変更承認申請書」を事務局に提出して承認を受けなければならない、としています。

変更の種類 承認 例外として承認が要らない場合
経費区分ごとに配分された額を変更する 必要 各配分額の20%以内の流用増減
補助事業の内容を変更する 必要 下記の「軽微な変更」2類型

「軽微な変更」として承認が不要になるのは、第12条第1項第2号のただし書きに挙げられた次の2つです。

  • (ア)補助目的に変更をもたらすものではなく、かつ、補助事業者の自由な創意により、より能率的な補助目的達成に資するものと考えられる場合
  • (イ)補助目的および事業能率に関係がない事業計画の細部の変更である場合

ECサイトの制作でいえば、デザインの配色を変える、トップページの構成を組み替える、商品写真の撮り直しをする、といったものは(イ)の「細部の変更」に収まりやすい部類です。一方で、販路開拓の対象として申請書に書いた顧客層そのものを変える、ECサイトを作る計画を自社サイトのリニューアルに置き換える、といった変更は「補助目的に変更をもたらす」側に寄ります。

この2類型はどちらも「補助目的」を基準にしていて、金額の大小では切られていません。判断に迷う変更は、事前に事務局へ確認するのが安全です。第12条は「原則として、あらかじめ」と書いており、事後の申請を想定した書きぶりになっていません。

経費配分の20%ルールは、小さいほうの区分で決まる

実務でいちばん使うのは、経費区分をまたいだ流用です。持続化補助金の経費区分は、機械装置等費・広報費・ウェブサイト関連費・展示会等出展費・旅費・新商品開発費・借料・委託外注費の8つで、交付申請のときに区分ごとの金額を決めています。

この配分を変えるとき、各配分額の20%以内の増減であれば承認は要りません。ここで見落とされやすいのが、20%は増やす側と減らす側それぞれの配分額にかかるという点です。原資を出す区分が小さいと、増やす側に余裕があっても動かせません。

交付対象経費の合計が75万円、補助率2/3で補助金50万円という計画を例にします。

経費区分 配分額 20%にあたる額
広報費 40万円 8万円
ウェブサイト関連費 15万円 3万円
機械装置等費 12万円 2万4,000円
委託・外注費 8万円 1万6,000円

ここでECサイトの作り込みを増やしたくなり、広報費を削ってウェブサイト関連費に回すとします。広報費の側は8万円まで減らせますが、ウェブサイト関連費の側は3万円しか増やせません。承認なしで動かせるのは3万円で、広報費を8万円削る計画のほうは、受け皿が足りないので成立しません。

逆の向きも同じです。委託・外注費8万円をまるごと別の区分に回したい場合、減少幅は100%になるので、受け皿の区分に余裕があっても承認が必要です。流用の上限は「増やす側の20%」と「減らす側の20%」のうち小さいほう、と覚えておくと判断が早くなります。

なお、この20%を1回の変更ごとに見るのか、交付決定時の配分からの累計で見るのかは、交付規程の条文からは読み取れません。複数回に分けて流用する予定があるなら、事務局に確認してから動かすべき部分です。

ウェブサイト関連費を増やすときは、20%の手前に1/4の壁がある

ここがECサイトを作る人にとって、いちばん引っかかりやすいところです。

様式第4に添付する別紙1「経費の配分の変更」は、区分ごとの変更前・変更後の金額を書いたあと、補助金額を次のように集計する作りになっています。

欄 内容
① ウェブサイト関連費を除く補助対象経費の小計
② ①の2/3以内の補助金額
③ ウェブサイト関連費の2/3以内の補助金額(※④の1/4を上限)
④ ②+③(※変更前の補助金額を上限とする)

注記が2つ付いているのが重要です。④には「変更前の補助金額を上限とする」とあり、計画変更で補助金の総額を増やすことはできません。経費の総額を増やす変更自体は書けますが、増えた分は自己負担になります。

そして③には「④の1/4を上限」という注記があります。これは実績報告書(様式第8)の別紙3にある「(2)≦(5)×1/4 であるか」というチェックと同じ条件で、計画変更の段階でも同じ天井が効くということです。この1/4ルールそのものの中身は別記事で詳しく書いているので、そちらを参照してください(持続化補助金でECサイトに出る補助金は最大12万5,000円|ウェブサイト関連費の1/4ルールと収益納付)。

先ほどの例で確かめます。補助金額④は50万円のままなので、③の上限は12万5,000円です。

変更後のウェブサイト関連費 20%ルール ③の額と1/4判定
18万円(+3万円) ちょうど20%で承認不要 12万円 ≦ 12万5,000円で成立
21万円(+6万円) 40%増で要承認 14万円 > 12万5,000円で不成立

つまり21万円の案は、承認を申請しても別紙1の欄が埋まらない形になります。経費総額75万円の計画でウェブサイト関連費に充てられるのは、計算上18万7,500円が限界です(③=12万5,000円を補助率2/3で割り戻した額)。

「20%を超えるから承認を取ろう」と考える前に、1/4の条件を満たすかどうかを先に確かめたほうが手戻りがありません。20%以内であっても1/4を超える変更は、承認が要らない代わりに、実績報告の段階で同じ壁に当たります。

新しい費目を後から足すことは、原則としてできない

公募要領は、変更承認について次のように釘を刺しています。「原則として補助事業計画に記載のない新しい費目の追加は認められません。」そのうえで、「補助事業の目的達成のために必要不可欠であると認められる場合に限り、新しい費目の追加と経費の流用に係る変更申請が認められることがあります」としています。

ECの文脈では、これは具体的な意味を持ちます。交付申請の時点でウェブサイト関連費を1円も計上していないと、採択後に「やっぱりECサイトを作りたい」となっても、原則として費目を追加できません。ウェブサイト関連費は単独では申請できない区分なので、ほかの経費と組み合わせて最初から計上しておく必要があります。

もう一つ、見落とされやすい制約があります。公募要領は「業務効率化(生産性向上)の取組」による経費支出は、あらかじめ申請時に所定の様式内に内容を記載し、「経費明細表」に計上していることが前提条件であり、変更承認手続によって事後に補助対象経費に加えることはできないと明記しています。受注管理や在庫管理のツールを「業務効率化の取組」として入れるつもりなら、申請書の段階で書いておかないと後から回収できません。経費明細表の立て方については、事業計画書の書き方の記事で整理しています(持続化補助金の事業計画書をECサイトで書く)。

期間内に終わらない見込みになったら、事故報告を出す

制作が遅れるのは、ECサイトではよくあることです。商品データの用意が間に合わない、制作会社の都合で納品がずれる、決済代行の審査が長引く。ここで手続きを取らずに放置するのがいちばん悪い選択になります。

交付規程第5条は、事業実施期間を「交付決定を行った日から、交付申請書に記載した事業完了予定日まで」と定めています。ただし同条にはただし書きがあり、第16条に基づいて事務局から指示を受けた場合は、指示を受けた事業実施期限日まで事業実施期間とすることができるとしています。

その第16条が事故報告です。補助事業が予定の期間内に完了することができないと見込まれる場合、または補助事業の遂行が困難となった場合には、速やかに様式第6「補助事業の事故報告書」を提出し、その指示を受けなければならないと定められています。これが、期限を動かせる唯一の正規のルートです。

様式第6に書くのは次の項目で、原因だけでなく「取った措置」と「完了日の予定」まで求められます。

  • 補助事業名(交付決定通知書の日付を記載)/補助金額
  • 事故の原因および内容/事故に係る金額
  • 事故に対して取った措置
  • 業務の遂行と完了日の予定
  • 事故が業務に及ぼす影響

報告しないまま期限を過ぎた場合どうなるかも、交付規程に書かれています。第23条第1項は、事業実施期限日までに補助事業を完了しなかった場合(第7号)と実績報告書の提出を怠った場合(第8号)を、交付決定の取消事由として列挙しています。取消しに係る部分の補助金が既に交付されていれば返還命令が出て、第3項により受領の日から納付の日までの期間に応じた年利10.95%の加算金が併せて命じられます。

手続きの対応関係を整理すると次のようになります。事故報告は速やかに提出して事務局の指示を受けるもので、中止・廃止はあらかじめ承認を受けるものです。期限が動くのは事故報告を出して指示を受けた場合だけです(第5条ただし書き)。

状況 提出する様式 根拠
期間内に完了できない見込み 様式第6 事故報告書 第16条
一時中断・取りやめたい 様式第5 中止(廃止)申請書 第15条
事務局から報告を求められた 様式第7 遂行状況報告書 第17条
手続きなしで期限を過ぎた 交付決定の取消し対象 第23条

中止・廃止も、勝手にやめるのではなくあらかじめ様式第5で承認を受ける手続きになっています(第15条)。やめること自体は制度に用意された選択肢で、第23条はその申請があった場合に交付決定の全部または一部を取り消す、という書き方をしています。加算金の規定(第3項)は第1項第1号から第3号まで、または第5号から第8号の取消しにかかるもので、中止・廃止の申請による取消しはそこに並んでいません。

なお、交付申請を電磁的方法で行った場合は、計画変更の申請・中止または廃止の申請・事故の報告・状況報告も電磁的方法で行えます(第7条)。申請システムを使って申請したなら、これらの手続きも紙の郵送ではなくシステム側で完結する想定です。

事務局は、実施状況を見に来ることがある

手続きを取らない変更がどこで露見するのか、という点にも触れておきます。

交付規程第22条第1項は、補助事業が適切に実施されていないと認めるときは、是正のための措置を執るべきことを命ずることができるとしています。第2項では、事務局と中小機構理事長が、必要があるときに指定する者を事業所等に立ち入らせ、帳簿書類その他の物件を検査させ、関係者に質問させることができると定めています。

加えて第11条は、補助事業の経費について帳簿とすべての証拠書類を備え、他の経理と明確に区分して経理し、常に収支の状況を明らかにしておくことを求めています。保存期間は補助事業の完了の日の属する年度の終了後5年間で、廃止の承認を受けた場合も含みます。区分経理ができていれば、計画変更の必要があるかどうかも早い段階で自分で気づけます。

変更が必要になったときの判断順序

ここまでを整理すると、交付決定後にECサイトの中身や予算を変えたくなったときは、次の順で見ていくのが早いことになります。

  • その変更は補助目的を変えるか。変えるなら内容変更として承認が要る
  • 経費配分を動かすなら、増やす側と減らす側それぞれの20%を計算し、小さいほうを上限にする
  • ウェブサイト関連費を増やす方向なら、先に1/4の条件を確かめる。ここで止まるなら20%の議論に意味がない
  • 新しい費目を足したいなら、原則として認められない前提で事務局に相談する
  • 期限に間に合わないなら、遅れが見えた時点で様式第6を出す。期限を過ぎてからでは取消事由になる

こうして並べると、補助金を使ったEC構築は「作りながら考える」進め方と相性が悪いことがわかります。配分も仕様も交付申請の時点でかなり固めておく必要があり、途中の自由度は各区分の20%と1/4の天井に挟まれた狭い範囲しかありません。作りながら仕様を決めていきたいなら、補助金を使わずに月額課金のカートで始めて、固まってから作り込むほうが素直です。自力で始めた場合の初期費用・月額・決済手数料の実額は、ネットショップ作成サービスの比較で整理しています。

ECサイト制作・補助金の活用を相談したい方へ

「この変更に承認が要るのか」「経費配分をどこまで動かせるのか」といったご相談を承っています。申請書類の作成が必要な場合は、行政書士をご紹介します。

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