「補助金でネットショップを作れないか」という相談は、秋になると増えます。結論から言うと、小規模事業者持続化補助金(第20回)は、ECサイトの構築費に使えます。ただし、ECサイト制作費だけでは申請できない、交付決定より前に発注すると対象外になる、といったルールがあり、知らずに進めると補助金が1円も出ません。
この記事では、ネットショップを運営する(または始める)小規模事業者向けに、第20回の要点を公募要領にもとづいて整理します。
この記事の結論
- ECサイトの構築・更新は「ウェブサイト関連費」として対象。ただし上限30万円(税込)・単独申請は不可
- ネット広告・SNS広告は「広報費」(こちらも上限30万円・単独不可)
- 申請締切は2026年12月15日(火)17:00。商工会・商工会議所の「事業支援計画書」の発行依頼は12月4日(金)まで
- 発注・契約・支払いは交付決定日以降。先に作ったサイトは対象外
※2026年9月17日時点。「小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領(第8版)」をもとに作成しています。申請前に必ず最新の公募要領を確認してください。
持続化補助金(第20回)の基本
持続化補助金は、小規模事業者が経営計画にもとづいて行う販路開拓などの取り組みを支援する制度です。ネットショップの立ち上げやリニューアルは「販路開拓」にあたるため、EC事業者と相性のよい補助金です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 小規模事業者(商業・サービス業は常時使用する従業員5人以下、製造業その他は20人以下) |
| 補助率 | 2/3 |
| 補助上限 | 50万円(インボイス特例で+50万円、賃金引上げ特例で+150万円、両方で+200万円。最大250万円) |
| 申請受付 | 2026年11月5日(木)〜12月15日(火)17:00 |
| 事業支援計画書(様式4)の発行依頼 | 2026年12月4日(金)まで |
| 補助事業の実施期間 | 交付決定日〜2028年3月31日(金) |
| 申請方法 | 電子申請のみ。GビズIDプライムのアカウントが必要 |
ネットショップの運営者で見落としやすいのが従業員数の区分です。小売・EC は「商業・サービス業」に入るため、常時使用する従業員が5人以下である必要があります。
ネットショップで使える経費・注意が必要な経費
第20回の対象経費は、機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費の8種類です。EC事業者に関係が深いものを整理すると次のとおりです。
| やりたいこと | 経費区分 | ポイント |
|---|---|---|
| ECサイトの新規構築・リニューアル | ウェブサイト関連費 | 上限30万円(税込)。単独申請は不可 |
| 商品ページ・LPの制作 | ウェブサイト関連費 | 販路開拓のためのウェブサイトとして扱われる |
| リスティング広告・SNS広告 | 広報費 | 上限30万円(税込)。単独申請は不可 |
| チラシ・同梱物・パッケージ(宣伝目的) | 広報費 | 販路開拓との関連を事業計画で説明する |
| 新商品の試作・デザイン | 新商品開発費 | ECで売る新商品の開発に |
| 楽天市場などモールの出店料 | — | 公募要領に明示がないため、事務局へ事前に確認 |
モール出店を考えている場合は、補助対象になるかどうかとは別に、出店そのものの費用構造を先に押さえておくと事業計画が書きやすくなります。楽天市場に出店すると月商のいくらが消えるかで3プランの費用を計算し、モール出店と自社EC、どちらから始めるべきかで判断軸を整理しています。
「ウェブサイト関連費だけ」では申請できない
ECサイトを作りたい事業者がいちばんつまずくのがここです。ウェブサイト関連費は、必ずほかの対象経費と組み合わせて申請する必要があります。
ネットショップなら、たとえば次のような組み合わせが考えられます。
- ECサイト構築(ウェブサイト関連費)+ 新商品の試作(新商品開発費)
- ECサイト構築(ウェブサイト関連費)+ 実店舗で配るチラシ・同梱物(広報費)
- ECサイト構築(ウェブサイト関連費)+ 催事・展示会への出展(展示会等出展費)
なお、広報費も単独申請は不可です。「ECサイト+SNS広告」のように2つを組み合わせる場合も含め、どの経費がどの販路開拓につながるのかを事業計画の中で一貫して説明できるかが大切です。
補助金額のイメージ
補助金は「対象経費×2/3」で、上限は通常50万円です。たとえば対象経費の合計が60万円なら、補助金は40万円が目安になります(ウェブサイト関連費・広報費にはそれぞれ30万円の上限があるため、配分は公募要領で確認してください)。
補助金は後払いです。いったん全額を支払い、実績報告が承認されてから入金されます。60万円の事業なら、60万円をいったん用意できるかを先に確認しておきましょう。
締切から逆算したスケジュール
申請受付は11月5日からですが、準備はそれより前に始める必要があります。特に、商工会・商工会議所に依頼する事業支援計画書の締切(12月4日)は、申請締切より11日早い点に注意してください。
| 時期の目安 | やること |
|---|---|
| 今すぐ | GビズIDプライムを取得する(発行まで時間がかかることがある) |
| 10月 | 販路開拓の計画を固める。ECサイト・広告などの見積を取る(1件50万円超〈税込〉は2者以上の見積が必要) |
| 11月上旬〜中旬 | 経営計画書・補助事業計画書を作成し、地域の商工会・商工会議所に相談 |
| 12月4日(金)まで | 事業支援計画書(様式4)の発行を依頼 |
| 12月15日(火)17:00まで | 電子申請で提出 |
| 採択・交付決定後 | ここで初めて発注・契約・支払い。ECサイトを制作・公開 |
| 事業終了後 | 実績報告 → 確定検査 → 補助金の入金 |
EC事業者がやりがちな失敗5つ
1. 交付決定前にサイト制作を発注してしまう
発注・契約・支払いができるのは、交付決定通知書に書かれた交付決定日以降です。「年末商戦に間に合わせたいから先に作る」は、補助対象外になります。補助金を使うなら、公開時期は交付決定のあとで計画しましょう。
2. ECサイト制作費だけで申請しようとする
前述のとおり、ウェブサイト関連費だけでは申請できません。何と組み合わせるかを、最初の計画段階で決めておきます。
3. 相見積を取っていない
1件あたりの発注額が50万円(税込)を超える場合は、2者以上の見積が必要です。制作会社に見積を頼む段階で、補助金を使う予定だと伝えておくとスムーズです。
4. 後払いを見落として資金が回らない
補助金が入るのは、事業が終わって報告が通ったあとです。仕入れの多い時期と重なると資金繰りが苦しくなります。
5. サイトを作って終わりにする
補助金で作ったECサイトも、集客しなければ売上は立ちません。カート選び、決済、発送、広告まで含めて「公開後にどう売るか」を計画に書いておくと、事業計画の説得力も上がります。カートの選び方はネットショップ作成サービス6社を「料金構造」で比較、決済は決済手数料の実質料率の記事で整理しています。
対象経費が整理できたら、次は計画そのものです。第20回は補助事業計画に定量的な成果(売上高・売上総利益の増加)を求めています。ネットショップなら売上を「セッション × CVR × 客単価」に分解して根拠つきで書けます。具体的な書き方と計算例は持続化補助金の事業計画はECなら数字で書けるにまとめました。
申請書類の作成は誰に相談すればいい?
相談先は目的によって分けると迷いません。
| 相談先 | 頼めること |
|---|---|
| 地域の商工会・商工会議所 | 事業計画への助言、事業支援計画書の発行 |
| 行政書士 | 報酬を払っての申請書類の作成 |
| ECサイト制作会社・フリーランス | 見積書の作成、サイトの仕様・制作、公開後の運用 |
2026年1月施行の改正行政書士法により、報酬を受けて補助金の申請書類を作成するのは行政書士の業務であることが明確になりました。「コンサル料」など別の名目でも、実態として書類を作成していれば対象になります。制作会社から「申請書もまとめて作ります」と提案された場合は、誰が書類を作るのかを確認しておくと安心です。
まとめ
- 持続化補助金(第20回)は、ECサイトの構築・更新に使える
- ウェブサイト関連費は上限30万円(税込)で、ほかの経費との組み合わせが必須
- 事業支援計画書は12月4日、申請は12月15日17:00が締切
- 発注は交付決定のあと。補助金は後払い
補助金は「使えるか」より「使ったあとに売れるか」が大事です。ショップスタートでは、ネットショップの開業費用やカート・決済の選び方もあわせて整理しているので、計画づくりに役立ててください。
ECサイト制作・補助金の活用を相談したい方へ
「自分のショップの場合、何と組み合わせればいいか」「補助金を使う前提でどんなサイトを作るべきか」など、ネットショップの計画についてご相談を受け付けています。申請書類の作成は提携の行政書士をご紹介します。
参考資料
最終確認日:2026年9月17日


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